お持ち帰りの日

合コンは、そんなにたくさん行ったことがあるわけじゃないのだけど。
そもそもお酒の席へ行っても、食べることは好きだけど、飲めないので、たくさん飲むひととか、飲むことを進めるひととは席を々にしたくなくて。
できるだけ、遠くにひっそりとしていたいっていうかんじ。

だから、知らないひととご飯をしても、美味しいって心から思えることは、そんなに多くもなくて。
気分が良かったり、調子が良かったりっていうときなら、なんの気兼ねもなく楽しめるのかもしれないけれど。

だいたいのときは、始まる前の緊張感で行くのが嫌になったり、億劫な気持ちになったり。

この間、出かけて行ったのは、エミちゃんが誘ってくれて、もし嫌だと思っていたとしても、何度も断ることができなかったし、そこまでして断ろうとも思えなかったし。
友だちがいるのだからっていうのもあったかもしれないし。

友だちが全然いない場合なんて、ほぼ考えられないのだけど。
でも、そういう場に行くことは久しぶりだったので。

しかも。。

エミちゃんがそうやって声を掛けるのは、たいだい女性優位というか。
女性側に選択権があるというか。
男の人は品定めをされにくるだけで、そんなのでも人数が集まるのもすごいなと思うけれど。

一緒にご飯を食べて、楽しく会話をして。
意気投合したら連絡先を交換して。
っていうのは、よくあるパターンだと思うけれど。

そのあと、女性側が気に入ったのなら、そのまま男性に声を掛けて。。。っていう。
逆に男性側からは、連絡先を聞くことはあっても、それ以上のことはマナーとしてダメっていう。
暗黙の了解というか。
この集まりのルールというか。

お持ち帰りするのは、男性じゃなくて女性からみたいな。

エミちゃんには、前にも声を掛けてもらっていたことがあって。
人数合わせのように行ったこともあるけれど、積極的に人数合わせに行くこともなかったし。
楽しもうと思って行くこともなかったし。

今度のも人数合わせだったと思うのだけど、そうハッキリ言われなくて。
ただ、一緒に行ってみたら、しっかり4対4になっててました。

お酒は飲めないから、カルピスばかり飲んでいたのだけど。

話しが積極的にできたわけでもないし、なんとなく話しを合わせて。
でも食べることは楽しめたけれど。
たくさんのひとと食べると、いろいろなものが少しずつ食べられて楽しいし。

黙って食べ続けては、ちょっと話しに入って、カルピスを飲んで、飽きたらお茶を頼んで。

そんな感じで過ごしてました。

たぶん3時間くらい。
最初のお店でみんなで食べて飲んで。
見ている限り、連絡先を交換していたのは、ふたりくらい。

そもそも、連絡先を知っているんじゃないかっていうのも、ふたりくらい。

エミちゃんは間違いなく、連絡先を知っていて、全員のではないと思うけれど。
男性側の幹事さんとは知り合いだろうし。

じゃあ、この時間の中で意気投合したから、別々にどこかに行こうっていう話をしているのも聞こえなかったけれど。

お店の外に出て、気が付いたら、ひとりずついなくなってて。
「あれ」って思ったけれど、そういうことかって気が付いて。

エミちゃんは幹事さん同士で、カラオケか何か行くって言ってて。
わたしは、帰ろうかって思ってて、エミちゃんにそう伝えにいったら、カラオケに誘われて。

でも「帰る」って言いかけていたところだったので、誘われてはいたけれど、わたしが言おうとしていたことをエミちゃんが察して。
「あー帰るんだよね」みたいなことを先に言ってくれて。

カラオケも楽しそうだとは思ったけれど。
きっとエミちゃんと一緒に行ったら、いつ終わりが来るのか分からないくらいになりそうに思ってました。

まだ残っていたふたりの男性も、カラオケに行くって誘えば、一緒には来てくれそうな感じ。
きっと4人で歌って楽しくするんだろうな。と思いました。
わたしは「じゃあ、またね」って言うつもりで、エミちゃんに手を振りました。

そうすると、エミちゃんは振っている方の手を取って
「連絡先聞いた?」
っていうので、聞いていないって答えたのだけど。
「せっかくだから聞いておいたら」
と、ふたりにも聞こえるような、ふつうの話し声で。
むしろ、お酒が入っているから声は大きいくらいで。

そんなふうに言われたら、聞かないといけないような、そんな雰囲気にもなって、聞くだけ聞いておこうとしたら、
「一緒に帰っても良いんだよ」
って言うくらいで。

声を掛けるときはこっちからみたいな、そういうルールというか、マナーなのは、知っているけれど。

エミちゃんが、そういう振りをするとは、思ってもいなくて。
それも目の前にいるのに、大きな声で。

そんなふうになっていたら、なんだか今日は良いのかなっていう気にもなって。
目の前にいるふたりを見ていたのだけど。
エミちゃんは盛り上げるだけ盛り上げようとするし。

早くどっちか決めようと思って、向かって右側にいるひとに、
「一緒に帰りますか?」
って言いました。

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